監査法人から決算のお墨付きをもらえず、ずっと有価証券報告書を提出出来ていなかった東芝。
昨日8月10日にやっと有価証券報告書を提出しました。
PwCあらた監査法人の判断は「限定付適正」というものでした。
しかし東芝の先行きにはまだまだ試練が待ち構えています。
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「限定付適正」とは?
遅れに遅れてやっと出してきた有価証券報告書ですが、注目されていた監査結果は
「限定付適正」でした。
これは
決算について一部を除き妥当とするという内容です。
東芝の決算でこれまで注目されてきたアメリカの原子力関連の損失計上についてはあくまで2016年3月期に計上すべきだったというのが監査法人サイドの意見です。
ですので、損失計上以外については決算について妥当と認めるという意味での
「限定付適正」という結果になったのです。
これ、一部を除いて適正という文面だけ見ると概ね正しいような印象を受けますが、個人的には今回のケースに関してはその一部の影響が大きすぎるように感じますが…
仮に損失計上が前期であれば東芝はすでに上場廃止になっているでしょうし…
ただ東芝は現在「特設注意市場銘柄」に指定されており、審査されている状況下にあるので、今回監査が不適正とならなかったことは大きいです。
上場廃止の期限を延長することができた形ですね。
今期中に債務超過を解消できなければ上場廃止に
今回なんとか不適正を免れた東芝だが、最終損失9656億円、債務超過額5529億円となりました。
この5529億円の債務超過を今期中に解消できなければ上場廃止となります。
結局本質的な問題は残ったままですからね。
この債務超過の鍵となるのがかねてから取りざたされている半導体メモリ事業の売却です。
当初は2017年3月期中に売却という話もありましたが、合弁相手のウエスタンデジタルが反対してくるなど思うように進展せず、未だに先行きは不透明です。
そして売却が仮に決まった場合でも、売却自体が2018年3月に間に合うのかという問題があります。
これは独占禁止法に絡む審査があり、この審査に半年程度の期間を要するからです。
交渉が停滞している間に期限は刻一刻と迫ってきています。
そもそもエースの半導体メモリ事業を売却していいのか
上場廃止を避けるために半導体メモリ事業の売却を進めていますが、稼ぎ頭の半導体メモリ事業を売却してしまって本当にいいのかという問題があります。
というのも今期東芝は営業利益を4300億円と予想。
このうち約86%の3700億円を半導体メモリ事業が計上する見通しなのです。
実際に第1四半期の決算においても営業利益996億円のうち、半導体メモリ事業が903億円を稼いでいます。
この大エース事業を失うことは正しい決断なのでしょうか。
綱川社長も非常に悩ましいところでしょう。
これから売却交渉が進むのか、新たなスキームを組み半導体メモリ事業の全てを売却せずに上場も維持するのか、
はたまた売却を完全にやめて上場廃止を受け入れるのか…
東芝の決断に注目ですね。
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