コメダホールディングスが議決権行使で謝礼!狙いは一体何?

 

少し前の記事だが、2017年4月13日の日経新聞にコメダホールディングスに関する内容が掲載されていた。

以下、日本経済新聞より抜粋。

議決権行使で「謝礼」 コメダ、総会活性化めざす

コメダホールディングスは株主総会で議決権を行使した株主に「謝礼」を払う新制度を導入すると発表した。

権利行使した株主に同社の店舗で使えるプリペイドカードに500円分チャージする。

2017年5月30日の株主総会から運用する。

株主数は約10万人で、持ち株ベースで個人投資家の持ち株比率はほぼ5割を占める。

新制度で個人を中心に幅広い株主の意見表明を促す。

 

コメダは昨年6月に東証1部に上場したコメダ珈琲店を運営する企業である。

本発表と同時に決算発表も行っており、純利益が前期比9%増の45億円、過去最高を更新ということもあり株価は急上昇。

発表前の1,800円近辺の水準から一気に1,900円まで上昇し、4月26日には年初来高値である1,980円をつけた。

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個人投資家の持ち株比率

 

先述の通り、コメダの個人投資家の持ち株比率は5割とあったが、どのような水準なのかを考える必要がある。

日本取引所グループが発表している2015年度のデータでは、全業種における個人投資家の比率は21.7%。

コメダは卸売業、後述のサンマルクやドトールは小売業なのだが、それぞれ27.0%、29.6%である。5割には程遠いことがわかる。

しかし、先述のサンマルクやドトールは49.2%、42.6%と個人投資家の持ち株比率が非常に高く、カフェの業種においては40%~50%が一般的な水準であると推察される。

今回のコメダの新制度にサンマルクやドトールなどがどう反応するのかは今後注目したい。

新制度の狙い

今回の制度によって

①謝礼活用に伴う売り上げの増加

②個人投資家の議決権行使比率の上昇が狙えると思われる。

①についてはチャージしたものを使うのは当然で、その分売り上げが伸びる。

既存の株主に加え今後新しい個人株主を取り込むことでさらに売り上げ増加に繋がつ可能性も大いにある。

②についてはチャージをしてもらうために議決権を行使する個人投資家は増加するだろう。

ここで気になるのはチャージが目的で初めて議決権を行使するような投資家が、議案に対して反対票を投じるのか?という点である。

ノムラ個人投資家サーベイの、2016年6月株主総会での個人投資家の議決権行使の状況によると回答者の53.9%1が議決権を行使しており、さらにその59.9%が全議案に賛成している。

このことから今回新たに議決権を行使する投資家においても賛成票を投じる可能性が高いのではないかと筆者は考える。

問題は500円のチャージのために議決権を行使する人がどれだけいるのかということもあるのだが...

 

コメダの権利確定月は2月であるため、今回は既存の個人投資家のみが対象である。

今回の株主総会そして来年の株主総会における個人投資家の議決権行使の状況、また同業他社に同様の動きが広がるかは今後注目していきたいと思う。

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