アメリカの雇用統計は、金融業界に携わっている方や、株やFX・投資信託などの売買をしているマーケット関係者のかたにとっては常識といってもいいほど重要な指標だ。
私も金融機関に入社して最初はマーケット関係の仕事に従事していた。
そのときにこのアメリカの雇用統計がマーケット関係者に非常に注目されていることを知った。
本日はアメリカの雇用統計についてまとめた。
スポンサーリンク
雇用統計とは何か?
そもそも雇用統計の中身はなんなのか。字面からなんとなく雇用のことだというのはわかるが。具体的には
・非農業部門雇用者数変化
・失業率
・製造業就業者数
・金融機関就業者数
・建設業就業者数
・週労働時間
・平均時給
などの十数項目で構成されている。要はアメリカの雇用の状況について統計をとり発表しているのだ。
アメリカの雇用統計はいつ発表?
〜毎月第一金曜日に発表〜
アメリカでは先ほどの項目について毎月調査し、第一金曜日の現地時間で8時30分(日本では夏時間の時期は午後9時30分、冬時間の時期は午後10時30分)に発表されている。
日本ではマーケットが閉まった後に発表されるため、FXをされている方などは事前に内容を予想し、ポジションを調整することが重要だそう。
時には発表後の翌月曜日に米ドルと円の為替が1円以上動くこともある。
FXをされている方は莫大な利益を得るチャンスであると同時に巨額の損失を被る危険があるタイミングともなり得るのだから重要視されるのも当然だ。
アメリカの雇用統計はなぜ重要視される
〜FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策判断の材料〜
では、なぜアメリカの雇用統計発表直後に為替が大きく変動するのだろうか。
それは、アメリカの金融政策を決定する機関であるFRBが雇用統計の数値を重要な判断材料としているからだ。
FRBは日本でいう日本銀行のアメリカ版と考えていい。
2017年ではアメリカは堅調な景気回復を背景に量的緩和縮小や利上げを行っている。
この政策によって、アメリカの長期金利が変動することが為替にも大きな影響を与えるのである。
〜特に重要視されるのは非農業部門雇用者数変化と失業率〜
先ほど雇用統計の中身は十数項目あると述べたが、その中でも
・非農業部門雇用者数変化
・失業率
の2つが非常に重要視されている。以下、なぜこの2つが重要視されているかを述べる。
〈非農業部門雇用者数変化〉
これは、「農業以外の業種で雇用された人がどれだけ変化したか」の統計数値だ。
アメリカは日本よりも雇用の流動性が大きい。
リストラされることも日本より多い。そのため、民間の企業で就業者が増えているということは、それだけ景気が良いということを表す。
数値の目安としてよく言われているのは
前月比20万人以上増加
である。20万人以上雇用が増えていれば、アメリカの経済が順調に成長しいることを示していると判断される。
〈失業率〉
失業率とは、失業者の数を労働力人口(就業者+失業者)で割った数値のことだ。ここでいう失業者とは、働く意欲があるのに仕事がない人のことを指す。日本でいうニートは失業者には該当しない。
失業率も非農業部門雇用者数変化と同様に重要視されている。
アメリカは個人消費がGDPの約6割も占めているため、雇用が経済に与える影響は大きく、失業率も重要なのだ。
この失業率だが、4.6%という数値が一つの目安とされている。
4.6%がFRBがいう「完全雇用」の状態にあるとされているのだ。
4.6%失業者がいるのに完全雇用??と思う方もいるかもしれない。
これは失業者の中には転職するためなどで自発的に失業している人が一定数は常にいて、その数値が4.6%であるとしている。
つまり、4.6%以下の場合、非自発的な失業者(リストラなど)がいない完全雇用だと考えるのである。
4.6%を下回っていると、人手不足の人手不足の状態であり、賃金上昇から消費拡大につながると考えられるのだ。
ちなみに2017年6月は
非農業部門雇用者数 → 22.2万人の増加
失業率 → 4.4%
であり、アメリカ経済の堅調な推移を表している。円と米ドルの為替も前日終値の113円18銭から一時114円の10銭台をつけた。
〜みんな事前に予想している〜
雇用統計がマーケットに大きな影響を与えることはおわかりいただけただろう。
しかしこれだけ重要な指標となると、人はみんな事前に予想するのだ。
株でも為替でも結局事前に予想することが重要だ。多くの人は予想に基づいて行動している。
そのため、予想と実際に出た数値のギャップが大きい時に相場の大変動が起きる。
得てして良い予想をしている時に悪い数値が出ることが多いような気がする。
〜予想は難しい〜
雇用統計の発表のタイミングを儲けるタイミングだと紹介しているサイトなどをよく目にする。
しかし経済の予想は専門家でも当てることは難しい。
それなりの根拠を持って判断してもその通りにいかないことは歴史が証明している。
また、個人が手にすることができる情報だけで経済の先行きを判断するのは難しいのかもしれない。
投資する際は、リスクを分散することが重要だ。
スポンサーリンク
この記事へのコメントはありません。