〜相続対策にみる従業員持株会の活用〜その仕組みと注意点は?

H27年に相続税の基礎控除が改正され、富裕層個人への課税がますます強化された。

近年の傾向としては法人に対しては減税、その分個人に対しては増税となっている。

相続税の最高税率は55%であり、何の対策も講じないと自分の資産の半分以上が国に取り上げられてしまう。

巷で様々な相続対策が取り上げられているのは当然と言えるかもしれない。

その中でも今回は非上場会社のオーナーの方によく活用される従業員持株会について取り上げた。

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従業員持株会とは

従業員持株会とは従業員が自社の株式を共同で持つ組織のことである。

民法上の組合と定義されると考えられる。複数の従業員から構成される。株式の取得方法は2つある。

①毎月定額で購入

こちらは馴染みのある方が多いだろう。

よくあるのは給与天引きで自社の株式を買い付ける方法だ。

従業員持株会の本来の目的である従業員の財産形成に寄与する。

②株式を相対で購入

これが相続対策としてよく見られる手法だ。

オーナーが持つ株式を従業員持株会に譲渡することで、オーナーの相続財産を減少させるのである。

この手法の仕組みについて以下述べていく。

配当還元価額で譲渡可能

そもそも非上場株式は上場株式のような取引相場がない。

ではどのように価値を評価すれば良いのか。

この点については別記事でまとめているのでそちらをご覧になっていただきたい。

非上場会社の株式において、議決権の影響は非常に大きい。

そのため株の保有比率や親族関係、会社の規模によって評価方法が異なる。

会社の経営に関与できる株式を高く評価するようになっている。

今回の方法では従業員持株会は同族ではないため、配当還元価額という低い評価額で譲渡することが可能なのである。

同族同士で売買する価額と比較して100分の1や1,000分の1であるケースも決して稀ではない。

この価額の評価の違いを活用しているのが従業員持株会を活用した相続対策のからくりだ。

 

従業員持株会の注意点

オーナーの相続対策としては非常に効果が大きいことは先述の通りである。

では、この方法に問題点はないのだろうか。

以下の点が問題として考えられる。

①従業員の買取資金

オーナーが譲渡する株式の量と従業員持株会の構成員数によって、一人当たりの負担額が異なる。

大量の株式を譲渡する場合には従業員側が資金調達できない可能性もある。

②議決権の分散

オーナーが譲渡した分の株式の議決権は当然一族から失われてしまう。

非上場会社じはオーナー経営であることが多く、議決権は非常に重要である。

しかし、この問題については無議決権株式を活用することで解決することが可能だ。

③従業員退職の際の買取資金

従業員持株会に加入していた従業員が退職する場合、その従業員が保有する株式については買取る必要がある。

退職する従業員が少なければ問題ではないかもしれないが、多くの従業員の退職の時期が重なった場合には多額の買取資金が必要となることが考えられる。

以上のような問題点を事前に考慮せず、相続対策のためだけに従業員持株会を設立し、譲渡した方もいるだろう。

その後に従業員持株会が機能しなくなり、困るのは残された人たちなのだ。

相続税の減少だけに目を向け安易に従業員持株会を活用するのはやめておいたほうがいいだろう。

あくまで従業員の財産形成や福利厚生に寄与するものとして考えて欲しいと思う。

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